ドラマの中で、ふたりが何気なく立ち寄った店や、ふっと息をついた帰り道。
その短いシーンの背景に、たしかに存在していた“街の匂い”があります。
ここでは、『じゃああんたが作ってみろよ』で使われたロケ地を、
シーンごとに静かにたどっていきます。
酒屋のロケ地|勝男が立ち寄った“あの店”はどこ?
勝男がふとした気持ちの揺らぎを抱えながら立ち止まった酒屋。
その場所には、登場人物たちが抱える迷いがそっとにじんでいました。
- 酒ノみつや(杉並区阿佐谷南1丁目13番)
- 高円寺〜阿佐ヶ谷に続く生活圏の延長にあり、素朴な“街の日常”をそのまま映してくれる店。
- パールセンターに続く北側の路地もあわせて登場。
店の灯りは派手ではないのに、どこか温かい。
勝男の、不器用な優しさや寂しさを受け止めてくれているように見えるシーンでした。
居酒屋・もつ焼きのロケ地|中条あやみ・竹内涼真が揺れた“食事の時間”
ふたりの距離が少し縮まったり、逆にすれ違ってしまったり。
そんな“揺らぎの瞬間”は、なぜか食事の席にそっと忍び込んできます。
- 牛の四文屋(高円寺南3丁目3番)
カウンター越しの短い会話が、胸に残る場面の舞台に。 - たいこ茶屋(日本橋馬喰町)
ホームパーティーの準備や、ふたりのテンポが少し噛み合わない瞬間が描かれました。 - 東麻布「いと」(東麻布3丁目5番)
大人の落ち着いた雰囲気の中、会話の温度が変わっていく。
湯気が立つ料理の向こうで、ふたりの“少しだけ言えなかった言葉”が浮き上がるような、
そんなシーンばかりでした。
レストラン・バーのロケ地|プロポーズ場所も含めて紹介
華やかさよりも、静かな高揚を感じさせるレストランやバーが多く使われたこのドラマ。
特にプロポーズにまつわるシーンは、街の光がそっと背中を押しているようでした。
- 銀座 水響亭(銀座7丁目5番)
劇中でも印象深い「プロポーズ」の候補となる象徴的な場所。 - Ocean dish Q’on(港区海岸3丁目26番)
海風の気配をまとった空間で、言葉が少しだけ軽くなるようなシーンに。 - Cafe&Dining ballo ballo 渋谷店(渋谷区宇田川町12番)
夜のやわらかな灯りが、ふたりの沈黙を包むように流れていました。 - Royal Garden Cafe 青山(港区北青山2丁目1番)
親しい人との時間が自然に流れ出すような落ち着いた空気。
派手すぎない店ばかりなのに、ふたりの決意や迷いがきれいに浮かび上がっていたのは、
場所が「背伸びしすぎない東京」だったからかもしれません。
スーパーのロケ地|さりげない日常が映った店はどこ?
買い物袋の重みや、思いがけない沈黙。
そんな“生活の速度”が静かに流れるシーンに使われていたのが、このふたつのスーパーでした。
- プラザ栄光生鮮館 コットンハーバー店(横浜市神奈川区星野町8番)
劇中では内観として登場。
勝男と鮎美が、いつものように並んで立つ“ふだんの距離”をそっと映し出します。 - クイーンズ伊勢丹 小石川店(文京区小石川1丁目17番)
こちらは外観のみの使用。
大げさな演出ではなく、ただ店先を通り過ぎるだけのような場面だからこそ、
ふたりの日常が自然に馴染んでいました。
スーパーは、物語の“特別ではない部分”を支える場所。
だからこそ、そこに映るふたりが少し愛おしく思えるのかもしれません。
マンションのロケ地|外観と内観が異なる“複数ロケ地”スタイル
ふたりの部屋は、穏やかな暮らしと、小さな衝突が積み重なる場所。
その空気感をつくるために、ドラマでは複数のロケ地が組み合わせられていました。
- プラムフラットパート2(杉並区高円寺北4丁目1番)
外観として登場。
夕方の光が当たると、マンションが少しだけ温かく見えるのが印象的でした。 - アパートスタジオ umejima square(足立区梅島2丁目32番)
室内セットとして使用。
生活感のあるキッチンや、小さな雑貨たちがふたりの関係の“温度”をそっと映します。 - プラウドタワー東雲キャナルコート(江東区東雲1丁目9番)
別のシーンで登場した居住スペース。
生活の風景の中に、少し大人びた寂しさが混ざるようなカットが使われていました。
外観・内観・別シーンと、いくつもの場所が“ひとつの家”を形づくっているのに、
それを感じさせないのは、ドラマ自体が“生活の手触り”を大切にしていたからでしょう。
公園のロケ地|距離が縮まった“静かな場所”
どの公園にも、人の多さや季節の匂いが少しずつ違っていて。
その違いが、ふたりの心の揺れ方と自然に重なっていました。
- 井の頭自然文化園・芝生広場(武蔵野市御殿山1丁目17番)
第1話。
何も言わなくても、ただ一緒に座っていればいい──そんな午後の空気が流れます。 - 井草森公園(杉並区井草4丁目12番)
第2話・第3話で使用。
子どもの声や風の音が混ざるこの公園は、ふたりの気持ちが揺れやすい“余白の場所”。 - 塚山公園(杉並区下高井戸5丁目23番)
第3話。少年野球場のそば、少し広がる空が印象的な場所。 - 和泉多摩川河川敷(狛江市猪方4丁目1番)
水辺の静けさが、そのまま登場人物の気持ちを落ち着かせるような場面に。
公園は、言葉を交わすよりも “一緒にいる時間そのもの” が物語を動かす場所。
その優しさが、画面越しにも伝わってきました。
通り・商店街・橋のロケ地|高円寺・阿佐ヶ谷の“空気が映る”街
人が行き交って、買い物袋が揺れて、どこか遠くから夕方のチャイムが聞こえてくる。
そんな“変わらない街の音”が、このドラマの背景を静かに支えていました。
- 高円寺純情商店街(杉並区高円寺北2丁目6番)
ふたりの生活圏の中心。店先の匂い、夕方の灯り、そのすべてが物語の呼吸になっていました。 - 阿佐ヶ谷パールセンター(杉並区阿佐谷南1丁目13番)
少し賑やかで、でもどこか落ち着く商店街。偶然すれ違う人の気配が、ふたりの距離をやさしく照らします。 - 神田川周辺(鎌倉橋/塚山橋・杉並区浜田山2丁目1番)
川の流れと足音だけが響く静けさの中で、心の揺れがふと顔を出すような場面に。 - 京王プラザホテル西側の歩道(新宿区西新宿2丁目2番)
夕方のビル街を、少し遠回りして帰りたくなるような、そんな“都会の温度”。
ときどき迷って、ときどき立ち止まって。
そんなふたりを、何も言わずに受け止めてくれる街でした。
遊園地・イベント系ロケ地|“少しだけ非日常”が差し込む瞬間
日常ばかりが続くわけじゃなくて、ふとしたタイミングで“少しだけ特別な時間”が入り込む。
そんな場面に使われたのが、ここに並ぶ遊園地のロケ地でした。
- 井の頭自然文化園スポーツランド(武蔵野市御殿山1丁目17番)
静かな午後の空気が、登場人物の心をそっとほぐしていく。 - 浅草花やしき(台東区浅草2丁目28番)
昔から変わらない明るさが、ふたりの素直な表情を引き出すようなシーンに。 - かみねレジャーランド(茨城県日立市宮田町5丁目2番)
少し遠い場所だからこそ、ドラマの中で“特別な一日”の印象を強く残します。
にぎやかな音も、観覧車のゆっくりした回転も、
ふたりの選択が少しだけ軽やかになる瞬間を支えていました。
オフィス・学校などのロケ地|仕事や葛藤が映る“もうひとつの顔”
日常と恋愛が揺れる場所とは違って、仕事の場面はどこか張りつめた空気があります。
その緊張と疲れを映してくれたのが、このロケ地たちでした。
- フジテックス 東京本社(中野区中野2丁目24番)
大きな窓から差し込む光と、少し乾いたオフィスの空気。 - トーハン本社 社員食堂(新宿区東五軒町6番)
ランチタイムのざわめきが、ふたりの会話に現実味をもたらしていました。 - 電気通信大学(調布市調布ケ丘1丁目5番)
広々としたキャンパスの風が、迷いの多いシーンをそっと冷ましてくれるようでした。
仕事と生活のバランスに悩むふたりの姿を、
“少し客観的に見つめる場所”として登場していた印象です。
まとめ|『じゃああんたが作ってみろよ』に流れていた“街の温度”
このドラマのロケ地は、ただの背景ではありませんでした。
ふたりの沈黙やため息、そして小さな決意を静かに受け止める“器”のような場所。
高円寺や阿佐ヶ谷の素朴な街並みも、銀座のきらめきも、井草森公園の風も──
すべてが物語の呼吸として寄り添っていました。
もし、印象に残ったシーンがひとつでもあれば、
その場所をもう一度思い出してみてください。
きっと、画面越しに感じたあの“温度”が、そっと戻ってくるはずです。



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