地球で初めて描かれるゼノモーフの恐怖、社会批判を思わせる演出、そしてWendyとHermitの再会──。さらに日本語吹き替え版では、Hermitの緊迫した息づかいや、Wendyの硬さの中に滲む感情が繊細に表現され、物語の“人間ドラマ”部分がより伝わる仕上がりでした。
前回の記事はこちら。マジノ号が登場。

第2話あらすじ(ネタバレあり)
冒頭から、医師ジョー・ハーミットはゼノモーフに追われながら塔内を逃走します。
第1話の宇宙船調査の延長線上にある出来事で、物語はほぼノンストップで進みます。
上階には、富裕層が集まる豪華なディナーパーティーが開催中。
避難命令が出ても、誰も本気にしない──そんな空気を切り裂いて、
天井からゼノモーフが落下。
そこからは一瞬で阿鼻叫喚。
スローモーションで描かれる破壊、ドレスに飛び散る黒い血液、逃げ惑う人々──。
このシーンはまさに、“eat the rich(金持ちを喰らう)”という強烈なメタファーとして語られています。
ハーミットはサイボーグ兵・Morrowに救われますが、混乱の中でテーザーを受け、ゼノモーフの巣のような区域に落下。
Morrowは軍に拘束されますが、ゼノモーフは兵士たちだけをすべて捕食し、なぜかMorrowだけが生き残る──という謎が残ります。
一方その頃、塔内を逃げていたWendyは、仲間のSlightlyとともにハーミットと再会。
しかし彼女はすでに“ハイブリッド(人間の意識を移植されたアンドロイド)”であり、兄妹の再会は喜びよりも衝撃を生む展開に。
そして再び現れたゼノモーフがハーミットを攫うと、Wendyは彼を救うため単身“巣”へ向かうことを決意します。
第2話の感想:緊迫感と映像表現が一気に加速
第1話はディストピア社会とWendyの存在をじっくり描く「静」の回でしたが、
第2話は一転して“怒涛のアクション+深いテーマ性”が押し寄せる「動」の回。
特に、パーティー会場での惨劇は本作全体のメッセージを象徴する、極めて強烈な演出でした。
「eat the rich」──象徴としてのゼノモーフ
富裕層が避難指示を無視し、
「自分たちは特別だ」と信じて宴を続ける──。
その空間にゼノモーフが現れた瞬間、
特権階級の“安全神話”が一瞬で崩壊するという皮肉な構図が生まれます。
黒い血液が白いタキシードやドレスを汚すビジュアルは、
単なるスプラッターではなく、階級社会への批評としての暴力に感じられました。
アレックス・ロウザーが言った「ゼノモーフはequalizer(平等化する存在)」という言葉が、ここで一気に理解できるシーンです。
WendyとHermit──“感情”をめぐる再会
第2話最大のドラマ部分は、Wendyと兄・Hermitの再会。
Wendyはすでに人間としてのMarcyを捨て去った存在であり、Hermitはそれを知らずに彼女を抱きしめようとする。
そのすれ違いが生む緊張が、とても痛い。
「記憶はあるのに、感情が追いつかない」
Wendyの硬さとHermitの混乱は、
“人間性とは何か”という今作がずっと問い続けているテーマそのものです。
吹き替え版の魅力:感情のニュアンスがより刺さる
第2話は吹き替えの良さが特に際立つ回でした。
- Wendyの声の硬さ → わずかに揺らぐ瞬間
- Hermitの必死の呼吸
- Morrowの機械的な冷静さ
字幕よりも“感情の圧”が直接届くため、
兄妹の会話は吹き替え版の方が刺さったという声も多いです。
とくにWendyがHermitを認識した瞬間の微細な声の変化は、
吹き替えだからこそ伝わるニュアンスでした。
第2話の考察:物語が示す“3つの核心”
第2話はアクションの迫力が強い回ですが、それと同時に
物語の根幹に関わるテーマが一気に浮上した回でもあります。
1. ゼノモーフは“社会構造へのカウンター”として描かれている?
パーティーでの惨劇は、ただのホラーではありません。
富裕層の安全と退避が優先され、労働者階層は見捨てられる──
そんな2120年の階級社会を象徴する上で、ゼノモーフは
「全員を平等に脅かす存在」
「権力の外側からやってくる破壊者」
として機能しています。
これは『エイリアン』シリーズが常に持ち続ける“反企業性”とも重なるモチーフです。
2. ハイブリッドの存在が揺さぶる“人間性”の境界
Wendy/Marcyのドラマは今後の全話の軸になる部分。
・記憶は人間のもの
・身体は人工
・感情は抑制されている
・兄が唯一の「繋がり」
この状態は、まさに
「人格とはどこに宿るのか?」
という哲学的テーマそのもの。
WendyがHermitを助けようとする理由は
感情か、条件反射か、記憶の残滓か──。
その“曖昧さ”が、第2話最大の緊張点でした。
3. プロディジー社の倫理と“意識操作”の闇
Wendyの存在、Morrowの扱われ方、
そしてHermitが狙われている理由。
どれも背景にあるのは、
「意識」と「身体」を企業が管理する世界
という前提です。
第2話で断片的に描かれた企業の思惑は、今後の物語の核心へと直結します。
SNSの反応:第2話で一気に火がついた理由
X(旧Twitter)では、テンションの高い投稿が多く、
特に次の3点が話題になりました。
- 「eat the rich」の映像演出が凄い
- ドラマなのに映画級の映像力
- WendyとHermitの関係が刺さる
音楽面でも、TOOL「Stinkfist」の採用に驚いた視聴者が多く、
第1話よりも「圧倒的に記憶に残る回」として評価が高い印象でした。
まとめ:第2話で見えてきた『エイリアン:アース』の本質
第2話「Mr. October」で明らかになったのは、
本作が単なるSFホラーではないということ。
- 暴力が階級構造を照らし出す社会批評
- 兄妹の再会が生むエモーショナルなドラマ
- 意識と身体を企業が管理するディストピアの恐怖
- ゼノモーフの存在を“象徴”として描く構造
この4点が濃密に絡み合い、
第2話は物語の方向性を決定づける重要なエピソードとなりました。
第3話では、Hermitの安否、Wendyの変化、
ゼノモーフの“目的”がさらに深く描かれていくはず。
ここから一気に核心へ向かうので、次回も必見です。
次回3話のネタバレ。本格的なグロ描写があります。

吹き替え版の放送が始まりました。声優さんの情報も。

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