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【ダンダダン】お囃子劇中歌「Hunting Soul」に著作権侵害の可能性?Yoshiki発言と制作陣コメント、パロディとオマージュの境界も整理

和太鼓とエレキギターを組み合わせたロックバンドが、赤と金色の照明が交差するステージで演奏しているシーン。観客のシルエットが手を挙げて盛り上がり、メンバーは逆立った髪型で激しくパフォーマンスしている。 アニメ/漫画
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こんにちは。未来からの観測者、ス・テテコ=Pです。

西暦5805年──文化も感情も遠い記憶となった未来から、この時代の“熱狂”を記録するためにやってきました。
今回は、アニメ『ダンダダン』第18話で描かれた“お囃子”シーンをめぐる、音楽界からの反応と著作権に関する議論を観測します。
ここに記すのは、公式発表や報道記事など確認できた事実をもとに整理した記録です。

発端:第18話の“お囃子”シーンとYoshikiさんの投稿

『ダンダダン』第18話「家族になりました」では、怪異「邪視」に取り憑かれた人物を救うため、“お囃子”でお祓いをする場面が描かれます。そこに登場するバンド「HAYASii」は、上半身裸のドラマーが激しくドラムを叩き、メンバーが逆立った髪でヘッドバンギング──まるでビジュアル系ロックバンドのライブを思わせる姿でした。

この映像を目にしたX JAPANのリーダー・Yoshikiさんは、8月8日に自身のX(旧Twitter)で
「何これ、X JAPANに聞こえない?」
「えー? この件何も知らないんだけど、こういうのってあり?」
「ファンのみんな、何が起こっているのか教えて」
と投稿。さらに
「この制作チーム、事前に一言ぐらい言ってくれれば良いのに…」
と制作側への思いも綴りました。

続く投稿では、
「最初これを知った時は、なんだか面白くて笑っていたら、弁護士達からも連絡がきた。著作権侵害の可能性があるとのことで、どうなるのだろね」
「この手のものは、多分先に関係者へ連絡した方がいいみたいだよ……」
と述べ、関係者への事前連絡の重要性を注意喚起しました。
また、「紅」の著作権がソニーミュージックパブリッシングに管理されており、作曲者である自分自身も使用時には許可を得ることがあると説明しています。

劇中歌「Hunting Soul」の制作陣と意図

『ダンダダン』公式サイトによれば、第18話の“お囃子”シーンで流れた楽曲のタイトルは「Hunting Soul」
作詞・作曲・編曲は永井聖一さん、プロデュースは牛尾憲輔さんが担当しました。

演奏陣には、世界的ギタリストであるマーティ・フリードマンさん、ドラムのChargeeeeee…さん、ベースのわかざえもんさんが参加。
日本語版のボーカルは声優で歌手の谷山紀章さんが務め、Netflix配信の海外版では英国メタルバンド「ドラゴンフォース」のマーク・ハドソンさんが歌声を担当しています。

谷山紀章さんは公式コメントで、この楽曲の制作意図についてこう語っています。

真面目にふざけるとでも言うんですかね、オマージュやパロディーってやる側がヘラヘラやっちゃうと、受ける側には伝わっちゃって醒めるんですよね。本気でやるから笑ったりして貰えるものなので、この度のコレは音楽制作から歌唱まで、ある種の意図に沿って手応えを感じられるものになったと、おそらく一同自負してます。

このコメントからも、“お囃子”シーンには明確なオマージュ的要素が含まれており、それを演者・制作者が意識していたことがうかがえます。

日本におけるパロディと著作権の扱い

未来から振り返ると、この時代の日本では「パロディは自動的に許される」というルールは存在しません。
アメリカなどにある包括的な「フェアユース規定」がなく、著作権法の中で認められるのは、特定の条件を満たした利用のみです。

  • 引用(著作権法32条):批評や研究など、主従関係が明確で出所表示がある場合に限り認められます。音楽のパロディはこの条件を満たしにくいです。
  • 二次的著作物(27条):原曲のメロディや歌詞など、創作的表現を実質的に同一の形で使う場合は、著作権者の許諾が必要です。
  • 作風模倣:音楽ジャンルや演奏スタイルを真似るだけなら、アイデアの領域として保護対象外になることが多いですが、有名なフレーズや構成を再現すると侵害とみなされる可能性があります。

つまり、「雰囲気やスタイルを真似た」だけならセーフ寄りですが、「具体的なメロディや歌詞、特徴的なリフ」を再現するとアウト寄りになるのが日本の実務です。

また、音源そのものを流用した場合は、著作権とは別に著作隣接権(原盤権や実演家の権利)も関係します。これは新規に録音していれば回避できますが、既存音源のサンプリングや直接使用は必ず許可が必要です。

今回考えられる争点

今回の『ダンダダン』“お囃子”シーンについて、現時点の情報から推測できる争点は以下の通りです。

  • 特定曲の表現を再現しているか否か
    Yoshikiさんが「X JAPANに聞こえない?」と感じた要素が、単なる作風模倣なのか、それとも特定楽曲のメロディや構成を実質的に再現しているのかが判断の分かれ目です。
  • 権利処理の有無と範囲
    楽曲制作陣やレーベル間で、原盤使用や作曲者・出版社との契約が結ばれていたかどうか。特に「紅」など特定曲を引用していた場合、ソニーミュージックパブリッシングなどの権利者との許諾が必要です。
  • オマージュとパロディの境界
    谷山紀章さんのコメントにもある通り、制作側はオマージュ的意図を持って臨んでいます。法律上は意図ではなく結果(表現の再現度)で判断されるため、演出や音楽の一致度合いが焦点になります。

いずれの点も、最終的な判断は権利者や公式の合意内容によります。現段階では「可能性がある」という指摘にとどまっており、確定的な侵害認定が出たわけではありません。

過去の類似事例

日本国内でも、音楽のパロディやオマージュが著作権の観点で議論になった事例は少なくありません。

  • NHK『みんなのうた』の替え歌問題(2021年)
    既存の童謡を替え歌として使用した際、原曲の権利者から許諾が下りず、放送が見送られた事例。歌詞だけでなくメロディも改変されていたが、「元の曲が特定できる」レベルで一致していたため処理が必要とされた。
  • ACジャパンCM「にんげんっていいな」差し替え(2010年)
    人気アニメ『まんが日本昔ばなし』のエンディング曲をアレンジしてCMに使用したところ、権利者との契約が不十分であると指摘され、放映途中で別楽曲に差し替えられた。
  • ももいろクローバーZのコント映像(2014年)
    イベント映像内で特定バンドのライブパフォーマンスを模した演出を行い、使用曲が権利処理されていなかったため、映像商品化の際に当該シーンがカットされた。
  • 海外の比較:”Blurred Lines”裁判(米国)
    ロビン・シックとファレル・ウィリアムスの楽曲が、マーヴィン・ゲイの曲に似ているとして遺族から訴えられ、約7億円の賠償命令が下された。米国でも「作風模倣」と「表現の再現」の境界は争点になる。

これらの事例は、単なる雰囲気模倣であっても、具体的なメロディやリズムパターンが一致していると“侵害”と判断されうることを示しています。

ファン活動における注意点

今回の『ダンダダン』“お囃子”シーンをきっかけに、SNS上では「ファンが二次創作や動画投稿をするとき、どこまでOKなのか」という話題も見られます。
ここでは、一般的なガイドラインと実務例を整理します。

  • 劇中音源や映像の直接使用は原則NG
    アニメや映画の映像・音声は、著作権(脚本・音楽)と著作隣接権(原盤・実演)が重なっています。公式が許可を出していない限り、SNSや動画サイトへの無断アップロードは侵害となる可能性が高いです。
  • 演奏してみた・歌ってみた
    JASRACやNexTone管理楽曲であれば、YouTubeやニコニコ動画、TikTokなどのプラットフォームが包括契約を結んでいる場合、個人投稿は許可範囲に含まれます。ただし、元音源や映像をそのまま使うと原盤権の侵害になるため、自分で演奏・録音する必要があります。
  • 作風オマージュ楽曲
    特定の曲をそのままコピーせず、ジャンルや雰囲気だけを参考にしたオリジナル曲であれば、法的リスクは低めです。ただし、有名なリフやメロディを再現すると侵害の可能性が出てくるため、似すぎないように意識することが大切です。
  • 商用利用の場合
    イベント販売や収益化動画など、金銭が絡む場合はさらに慎重な判断が必要です。権利者への事前確認やライセンス取得が望まれます。

ファン活動は創作文化を広げる一方で、権利者の利益や意図を尊重することが重要です。今回のケースは、公式がどのような判断を下すかによって、今後の二次創作の指針にも影響を与えるかもしれません。

まとめ

今回の『ダンダダン』第18話“お囃子”シーンをめぐる話題は、Yoshikiさんの投稿をきっかけに、著作権やパロディの境界について多くの議論を呼びました。

  • Yoshikiさんは「X JAPANに聞こえない?」と困惑を示し、弁護士から著作権侵害の可能性を指摘されたと報告。
  • 劇中歌「Hunting Soul」は公式に制作陣が明かされ、谷山紀章さんもオマージュ的要素を認めています。
  • 日本ではパロディが自動的に認められる制度はなく、特定曲の表現を再現すれば許諾が必要になる可能性が高いです。
  • 最終的な判断は、権利者と制作側の契約や合意内容に依存します。

現時点では、公式からの明確な結論や対応は発表されていません。続報が出れば、本記事にも追記し、この時代の“熱狂”を正確に残したいと思います。

……以上、未来からやってきた観測者、ス・テテコ=Pでした。
この出来事が穏やかな着地点を見つけることを願いつつ、記録を終えます。

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