『Re:ゼロから始める異世界生活』には、ときどき胸の奥を静かに締めつける瞬間があります。
第5章──プリステラの戦いで起きた“ユリウスが世界から忘れられる”という出来事も、そのひとつでした。なぜ、最優の騎士は名を奪われ、存在ごと失われたのか。
そして彼は、どうやって“世界へ帰還”したのか。
本記事では、第5章の喪失から第6章「記憶の回廊」での復活までを、順を追って整理します。
第1章：ユリウス・ユークリウスとは──“最優の騎士”の原点
ユリウス・ユークリウスは、王選候補アナスタシア・ホーシンに仕える筆頭騎士です。誠実で、理知的で、誰よりも“理想の騎士”を体現する人物。
・幼少期と家系──ユークリウス家に育てられた理由
ユリウスは血縁ではなく、拾われる形でユークリウス家に迎え入れられた少年でした。
精霊と優れた資質を持っていたことから「ユークリウス家の名を継ぐに足る」と認められ、少年時代から“正しい強さ”を求めて剣を磨いてきました。
・アナスタシア陣営の筆頭騎士としての役割
アナスタシアの参謀として行動し、ときに外交・判断・戦闘までをこなす万能型。
王選では、彼の冷静さと高い戦闘力が何度も陣営を救いました。
・ユリウスという人物像（誠実・理知・騎士道）
“強さ”の前にまず“正しさ”を求める――そんな価値観が、彼の根にあります。
その真っ直ぐさこそが、後に訪れる「忘却」という悲劇を、より深く際立たせることになりました。
第2章：“暴食”──名前と記憶を喰らう大罪司教の権能
ユリウスの運命を変えたのは、魔女教の大罪司教“暴食”の権能でした。
暴食には、「名前を奪う力」と「記憶を奪う力」の二種類があります。
・暴食の大罪司教とは（ロイ／ライ／ルイ）
暴食という肩書きには三人の大罪司教が存在します。
ユリウスが遭遇したのは、その一人であるロイ・アルファルド。
“名前を喰らい、記憶を喰らう”という、人の存在そのものを崩す権能を持った危険な男です。
・名前を奪う／記憶を奪う──2つの権能の違い
名前を奪われた者は、世界のすべての記憶から消えます。
記憶を奪われた者は、過去の人格や経験を失います。
これは単なる精神操作ではなく、世界の記憶そのものを書き換える“現実改変”に近い現象です。
・“名前だけ奪われる”とはどういう状態か（世界からの消失）
ユリウスの場合は「名前だけ」を奪われました。
そのため本人の記憶は残りつつ、周囲の人々だけが彼を忘れるという、最も残酷なパターンに当たります。
そこには、
「自分だけが覚えているのに、誰も自分を覚えていない」
という深い孤独がありました。
第3章：プリステラで起きた悲劇──ユリウスはなぜ“忘れられた”のか
ユリウスが“忘れられた”出来事は、第5章「水門都市プリステラ編」で起こりました。
・第5章「水門都市プリステラ編」で起きたこと
戦いの最中、暴食ロイ・アルファルドが放った権能がユリウスに襲いかかります。
本来なら名乗らなければ奪われないはずの“名前”が、彼の弟・ヨシュア経由で知られてしまったことで、ロイの標的となりました。
・ロイ・アルファルドによる“名前の喪失”の瞬間
名前が喰われた瞬間、ユリウスは激しい喪失感と共に倒れます。
そして目を覚ましたとき――世界から自分の痕跡が消えていることに気づくのです。
・アナスタシア陣営・仲間たちが全員忘れてしまう理由
ロイの権能は“世界の認識そのもの”に作用します。
そのため、誰もユリウスを思い出せず、彼に向けていた感情や記憶すら痕跡が残りません。
アナスタシアも、リカードも、エミリアたちも――
かつて命を預け合った仲間たちが全員、彼を「知らない人」として扱ったのです。
・ユリウスが感じた孤独と、騎士としての葛藤
記憶を奪われたわけではないユリウスにとって、この状況は“生きながら世界から消える”に等しいものでした。
それでも彼は、気品を崩さず、騎士としての振る舞いを保ち続けます。
——「誰に覚えられなくても、私は騎士である。」
その気高さは、後の復活シーンをより深く、美しく見せることになります。
第4章：なぜスバルだけがユリウスを覚えていたのか
世界中の誰もがユリウスを忘れてしまった――。
そのなかで、たったひとり。
ナツキ・スバルだけが、ユリウスの存在を記憶していました。
これは偶然でも、都合の良い奇跡でもありません。物語上、明確な“理由”があります。
・“死に戻り”という世界の外側に立つ能力
スバルは「死に戻り」という特異な現象の中で生きています。
世界の因果の流れや“記憶の上書き”から少しだけ外れた場所に立つ――そんな存在です。
暴食の権能による“世界改変”が起こっても、
因果の外にいるスバルは、変更の影響を受けにくい。
そのため、ユリウスの記憶が消える前の“世界線”を保持し続けられたと考えられています。
・異世界からの来訪者という例外性
スバルは、この世界の外側――
いわば“別の世界のルール”を背負ったままやってきた存在です。
だからこそ、“この世界に固有の法則”である暴食の干渉を受けにくい可能性があります。
・暴食の権能が及ばない可能性──条件と限界
暴食の権能は万能ではなく、「この世界の住人」を中心に作用する傾向があります。
異世界召喚者であるスバル、そしてアルデバラン（アル）も干渉を受けにくいのではないかと推測されています。
もしアルがユリウスを覚えていたとしたら――。
その事実は、暴食の権能の“対象範囲”を決める重要な手がかりになるでしょう。
・スバルという“唯一の証人”の存在意義
ユリウスにとって、
「世界から失われても、自分を覚えてくれる誰かがいる」
という事実は、ほとんど救いに近いものでした。
孤独を抱えながらも、スバルだけはユリウスの歩みを覚えている。
その関係性は第6章で、静かに、強く描かれます。
第5章：第6章“記憶の回廊”──名前を失ったまま塔へ向かう
第6章「記憶の回廊」は、リゼロの中でも最も多層的なテーマが扱われる章です。
「記憶」と「存在」。
「名前」と「絆」。
そして「どう生きるか」。
ユリウスは自分の名を奪われたまま、
アナスタシアの“影”としてプレアデス監視塔に同行します。
・プレアデス監視塔へ向かった理由
暴食の権能の解除方法を探すため、
そして仲間たちの目的を果たすため。
ユリウスは“存在を忘れられた騎士”として、それでも剣を取り、その旅路に加わります。
・名前を呼ばれないまま戦列に立つユリウスの姿
塔の旅路では、誰もユリウスを名で呼びません。
当然です。
誰も彼を覚えていないから。
けれど、その沈黙の中でも彼は淡々と騎士の役目を果たします。
「誰かに認められなくても、騎士でありたい」
その意志こそが、ユリウスという人物の核でした。
・塔の試練と“記憶”を代償とする構造
プレアデス監視塔に入るためには、
個人の記憶を差し出さなければなりません。
スバルが過去の記憶を喪失していく中で、
ユリウスは“記憶から失われた者”として、
彼とは逆の立場に立たされます。
「記憶を失う者」と「存在を失う者」――
二人の関係は第6章で静かに重なり合っていくのです。
第6章：塔の守護者・暴食の根源との対峙
・レイド・アストレア戦──名前に依らない“強さ”の証明
塔の第一守護者であるレイド・アストレアは、圧倒的な実力を持つ剣豪です。
“剣聖”の名を継いだ者たちの原点とも言える存在。
ユリウスはこの戦いで、“名前に依らない強さ”を見せつけます。
誰からも呼ばれず、誰の記憶にも残らなくても──
彼は、彼自身の技と誇りだけで剣を振るう。
それは、“ユリウス・ユークリウス”という名前すら超えた、
ひとりの騎士としての証明でした。
・暴食の根源 “ルイ・アルネブ” の存在
塔の中では、暴食の本体に近い存在である
ルイ・アルネブに関する情報が浮かび上がります。
ロイ・アルファルドに名前を奪われたユリウスですが、
暴食という概念の奥にはさらに強大な“根源”が存在している。
その事実が、後の“復活”に繋がる伏線になっていきます。
・“名前を奪われた者”として向き合う運命
暴食の被害者として、
ユリウスは戦いのたびに“自分は誰なのか”を問われます。
名前がなければ、人は誰であるのか。
存在とは、何によって確かめられるのか。
その問いへの答えは、
第6章の終盤で静かに形を取っていくことになります。
第7章：ユリウスの“復活”はまだ先──6章では名前は戻らない
プレアデス監視塔での激闘の末、
ユリウスは暴食の大罪司教ロイ・アルファルドを生け捕りにすることに成功します。
しかし――
この時点（第6章）では、ユリウスの名前は戻りません。
暴食の権能は「奪った側が倒れたら即解除」という単純な仕組みではなく、
どこか“より深い根源”につながっていることが示唆されています。
ロイを捕縛したことで一歩前進したものの、
奪われた名と存在は依然として、世界のどこにも戻らないまま。
・ユリウスが王都に送り届けた“鍵”としてのロイ
ロイは拘束され、王都に連行されます。
暴食の権能の調査はこの王都で進められることになり、
その調査結果が、今後の「名前回復」につながる可能性があるとされています。
しかし、この続報が描かれるのは――
もっと先、第9章です。
・6章終了時点のユリウスの状況
- 名前は戻らない
- 世界からの“忘却状態”は継続
- 存在の証明は依然としてスバルだけ
- 暴食の根源は未解明
つまり、第6章は「取り返しの第一歩」であり、
ユリウスの完全な帰還物語は、まだ途中段階なのです。
第8章：ユリウスの物語が教えてくれること
名前が戻らないまま、それでもユリウスは前を向いて歩き続けます。
その姿には、騎士としての気高さと、静かな強さがあります。
- 名前は失われても、誇りは消えない。
- 存在を忘れられても、行いは世界に残る。
- “覚えているひとり”がいれば、人は立ち続けられる。
ユリウスの物語は「記憶と存在」をめぐる残酷な章であり、
同時に、忘却の中でも揺らがない人の強さを描く章でもありました。
彼の物語の本当の解決は――
ロイが再登場する第9章以降へと続いていきます。
FAQ：よくある質問（修正版）
Q1：ユリウスの名前は6章で戻りますか？
戻りません。
ロイを生け捕りにすることには成功しますが、
名前の回復には至らず、忘却状態は継続します。
Q2：ユリウスはいつ復活するの？
明確に描かれるのは第9章以降になります。
ロイ再登場と“暴食の根源”の解明が鍵を握ります。
Q3：ロイを倒せば名前が戻るのでは？
暴食の権能は単純な「倒したら解除」ではありません。
より大きな“本体”ないし“根源”が関わっており、
6章時点ではその全容が掴めていません。
Q4：第6章の意味は？
ユリウスにとっては「取り返しの入口」であり、
物語全体から見ても、暴食の構造を理解するための重要な章です。
まとめ：ユリウスが“忘れられた理由”と第6章の到達点
- 暴食・ロイの権能で名前を奪われ、存在ごと忘却される
- スバルだけが記憶を保持する理由は“世界干渉の外側”に立つため
- 6章でロイを拘束 → ただし名前は戻らない
- 完全回復の物語は第9章へ続く
ユリウスはまだ“途中”にいます。
名前を失い、忘れられたまま、それでも剣を捨てずに歩く騎士。
物語の先で、その名がどう取り戻されるのか――
その答えが語られる瞬間を、静かに待つことになります。
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