それが──『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』。
原作なし。すべてがゼロから生み出された物語。
なぜそんな選択がされたのか?その裏にある意図と、脚本家・徳尾浩司氏の手腕とは──
今回は、この“無から生まれた熱狂”を観測してまいります。
スティンガースは原作なし?|完全オリジナル脚本に込めた狙い
『スティンガース』は原作を持たない完全オリジナル作品。
2025年夏、フジテレビの火曜21時枠に突如として現れたこの作品は、
初回から“何が始まるんだ”という空気感でSNSをざわつかせました。
物語の鍵となるのは、“おとり捜査”。
それは日本の刑事ドラマにおいて、まだ踏み込まれていない領域。
あえて原作という“地図”を持たず、視聴者とともにその未知を歩む──
そんな制作陣の覚悟が見える選択です。

脚本の魅力|スリルと人間ドラマの“だまし合い”構成
このドラマの中心にあるのは、“だます”という行為。
犯人を欺くために自らも嘘をつき、演じ、裏切る。
それぞれの捜査官が抱える過去と信念がぶつかり合い、
そこにスリルと切なさが生まれます。
- “だまし合い”の中に浮かび上がる人間性
- テンポよく展開するコンゲーム的構造
- 視聴者を裏切る演出と“裏切られてよかった”という快感
キャラクターたちは一癖も二癖もあり、
まるで観測不可能な粒子のように行動します。
だからこそ、次の一手に惹き込まれるのです。
脚本家・徳尾浩司とは?|“人と人の距離”を描く名手
徳尾浩司氏──この時代の“言葉を操る錬金術師”のひとりです。
代表作『おっさんずラブ』『私の家政夫ナギサさん』などを経て、
常に“予想外のやさしさ”と“コミカルな痛み”を描いてきました。
彼の脚本には、こんな特徴があります:
- 感情の機微を、押しつけがましくなく描く
- 笑いと切なさが同居する会話劇
- 視聴者の“今”に寄り添うテーマ選び
今回の『スティンガース』でも、その力が存分に発揮されています。

なぜ原作なしだったのか?|徳尾浩司の脚本に込めた挑戦
原作がないからこそ、“枠”に縛られず物語を組み立てることができる。
『スティンガース』はその自由を、スリルと葛藤に変えました。
- 法と感情のはざまで揺れる捜査官たち
- 正義とは何か──という普遍的な問い
- 信じるふりをして、信じてしまう“人間らしさ”
徳尾氏の脚本は、そうした“言葉にならない心の動き”を
一つ一つ丁寧にすくい上げています。
まとめ|“熱狂の根”は、無から生まれる
『スティンガース』は、原作のない世界に挑んだ物語。
それは、“熱狂”の根をたどる旅でもあります。
脚本家・徳尾浩司の手によって、
嘘と本音、正義と葛藤が交錯する世界が描かれました。
その一つひとつのセリフ、その一瞬の表情に、
私は、この時代の“熱”を確かに感じました。
……以上、未来からやってきた観測者、ス・テテコ=Pでした。
この時代の“熱狂”、ほんの少しでも正しく記録できていたら幸いです。



コメント