ほんの一瞬の音に、胸が震えることがあります。
Netflixドラマ『匿名の恋人たち』第6話。
赤西仁さん演じる寛と、中村ゆりさん演じるアイリーンが、初めて“恋人らしい時間”を過ごすシーン。
二人が立ち寄った小さな売店から、ふいに流れてきたのは――あの曲でした。
「Glass Heart」。
そう、佐藤健さん主演の音楽ドラマ『グラスハート』の中で生まれた、バンド〈TENBLANK〉の代表曲です。
音が流れた瞬間、SNSでは一斉に「え、グラスハートじゃない?」「TENBLANKの曲が流れてる!」という声が広がりました。
この小さな仕掛けは、“知っている人だけが気づける贈り物”のようでした。
『匿名の恋人たち』とは──触れられない心が少しずつほどけていく物語
物語の中心にいるのは、“人に触れられない”潔癖な製菓メーカー御曹司・壮亮(小栗旬)と、
“人の目を見られない”視線恐怖症の天才ショコラティエ・ハナ(ハン・ヒョジュ)。
彼らが働くチョコレートショップ「ル・ソベール」を舞台に、
不器用で、でもどこか愛おしい恋が少しずつ形を変えていきます。
壮亮の友人であり、彼を長年見守ってきたのが寛(赤西仁)。
そして、ハナのカウンセラーでありながら、どこか寛に惹かれていくアイリーン(中村ゆり)。
第6話は、そんな二人が初めて「人として、恋人として」心を通わせる特別な回でした。
あの売店で流れた“Glass Heart”──音がふたりをそっとつないだ瞬間
夜の街。
デート帰りにふらりと立ち寄った売店で、
小さく流れていた曲。
イントロのギターが響き、
一瞬だけ寛とアイリーンの表情が重なります。
「……この曲、なんだか懐かしいね」
アイリーンが微笑む。
寛は少し照れたように視線をそらす。
その小さな“間”の中で、「Glass Heart」の歌声が静かにふたりを包みました。
その曲こそが、『グラスハート』で誕生したTENBLANKの代表曲。
作詞・作曲を手がけたのは、RADWIMPSの野田洋次郎さん。
ドラマの枠を越えて“音が再登場する”という、Netflixならではの遊び心に満ちた演出です。
音が、言葉よりも先に感情を届けてくれる。
この作品が描いてきた「匿名の想い」と深く響き合う瞬間でした。
『グラスハート』のチョコレートが、匿名の恋人たちへ──もうひとつの伏線
実は、この二つの作品をつなぐのは音だけではありません。
『グラスハート』第4話。
バンド〈TENBLANK〉の合宿中、
歌姫・櫻井ユキノ(高石あかり)が突然現れ、
ヒロインの朱音(宮崎優)に差し入れを渡すシーンがありました。
彼女が手渡したのは、話題のチョコレート。
それが、のちに『匿名の恋人たち』で登場する“ル・ソベール”の人気商品、「レインボーパレット」だったのです。
色とりどりのガナッシュが並ぶ、その美しい断面。
光にかざすと、まるで心のグラデーションのように輝く。
『グラスハート』では“差し入れのチョコ”。
『匿名の恋人たち』では“想いを形にする仕事”。
チョコレートという小さなアイテムが、
作品をまたいで“想いを伝える”役目を果たしていました。
ファンが見つけた“音と甘さのリンク”──静かな熱狂
配信直後からSNSでは、気づいた人たちの投稿が広がりました。
「匿名の恋人たち6話でグラスハート流れてない!?」
「レインボーパレットって、ユキノが持ってたあのチョコだよね?」
まるでパズルを解くように、両作品を行き来するファン。
“誰に気づかれなくても、ちゃんと届くように仕込まれたサプライズ”に、
多くの人が胸を熱くしました。
音とチョコ。
どちらも、いのちのように儚いもの。
けれど、一度心に触れると、長く残る記憶になります。
まとめ|音とチョコレートがつなぐ“匿名の愛”
第6話で流れた「Glass Heart」は、ただの挿入歌ではありません。
それは、『グラスハート』の世界から届いた“匿名のメッセージ”。
そして、“レインボーパレット”というチョコレートは、
その想いをやさしく包む“形”でした。
言葉では伝えきれない気持ちを、音と甘さに変えて。
ふたつのドラマは、同じ想いを別の形で描いていたのかもしれません。
匿名でも、名前を知らなくても。
誰かを想うことは、確かに誰かの心を照らす。
――その小さな光を、ふたりの物語が教えてくれました。
『匿名の恋人たち』と『グラスハート』をつなぐ仕掛けを生んだ制作陣については、こちらもぜひ。

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